関節リウマチとは?
関節リウマチは、主に手足の関節が侵される病気で、関節の痛み、腫れ、熱感等を伴う炎症性関節炎です。この関節炎を放置していると関節が破壊(軟骨や骨が崩される)されて関節が変形したり、関節の運動が障害されて関節が固まってしまいます(拘縮・強直等)。
このため「タオルがしぼれない、ポットが持てない、脚が痛くて歩けない、長時間立つことが出来ない、しゃがめない」等日常生活に支障を来し、仕事も困難になります。
リウマチの活動期には全身倦怠感、発熱、貧血、リンパ節の腫れ、食欲不振等全身症状並びに朝のこわばり、関節以外の症状として目、肺、血管の炎症等多彩な症状が出現します。
関節の症状として、朝のこわばり、腫れ、熱感、疼痛を伴い膝関節等では、急激に水がたまる関節水腫という状態になります。
関節リウマチが進行するとリウマチ特有の関節変形が起こります。関節が破壊されると、例えば手指が外側に向く「尺側変位」、その他「スワンネック変形」、「ボタンホール変形」、「オペラグラス変形」等が有ります。関節の痛みを和らげ、関節破壊、変形の予防を第一に考慮し、最終的に日常生活動作の改善・維持が治療の目的です。
関節リウマチの血液検査について
関節炎の程度、薬剤の副作用、治療の効果等を知るために血液検査等が必要です。
- 赤沈(赤血球沈降速度):活動性の高いRAで促進。
- CRP:関節リウマチでは滑膜の炎症の状態を鋭敏に反映。
- RF(リウマトイド因子):リウマチ患者の80%が陽性。
- 抗CCP抗体:関節リウマチでは早期から高い陽性率を示す。
- MMP―3:疾患活動性の評価や関節破壊の予後予測に有用。
- 血小板:炎症が強いと増加する。
- KL―6:間質性肺炎の指標
関節リウマチの治療薬
- ステロイド薬:プレドニゾロン
- 非ステロイド性抗炎症薬
プロピオン酸系:アルボ、ロキソニン。
フェニル酢酸系:ボルタレン
インドール酢酸系:インテバン
ピラノ酢酸系:ハイペン
オキシカム系:フェルデン、モービック、ロルカム。
COX―2 選択的阻害剤:セレコックス - 遅効性抗リウマチ薬
金チオリンゴ酸ナトリウム:シオゾール(注射)
オーラノフィン:オーラノフィン錠
アクタリット:モーバー、オークル
ブシラミン:リマチル
サラゾスルファピリジン SASP:アザルフィジンEN錠
イグラチモ:ケアラム、コルベット - 免疫抑制薬
ミゾリピン:ブレディニン
メトトレキサート MTX:リウマトレックス、メトレート
レフルノミド:アラバ
タクロリムス:プログラフ、タクロリムス錠
トファシチニブ:ゼルヤンツ
パリシチニブ:オルムエント - 生物学的製剤
関節炎を引き起こす炎症性物質、サイトカインの働きを抑え関節破壊を予防する治療薬です。
従来の抗リウマチ治療薬(上記の1,2,3)で効果がない時に使用されます。
投与開始する前に、血液検査、胸部レントゲン・CT検査等のチェックが必要です。
インフリキシマブ:レミケード 点滴
エタネルセプト:エンブレル 皮下注射
アダリムマブ:ヒュムラ 皮下注射
アバタセプト:オレンシア 点滴 、皮下注射
ゴリムマブ:シンポニー 皮下注射
セルトリズマブベコル:シムジア 皮下注射
サリスマブ:ケブサラ 皮下注射
「副作用」
重度感染症、特に間質性肺炎、尿路感染症に留意する必要があります。
発熱、頑固な咳・痰、全身倦怠感等を認めた時は、遠慮せず主治医に連絡して、受診して下さい。
関節リウマチ手術の種類
- 滑膜切除術:長期にわたって関節炎が強い場合に行う。
- 関節固定術:主として頚椎、足関節に行われる。
- 骨頭切除術:足趾の変形に対して行われる。
- 人工関節手術:股関節・膝関節では安定して成績をあげている。
- 腱の手術:指の伸筋件が断裂した場合に行われる。
関節リウマチに対する心構え
自分の関節炎の状態と処方されている薬剤等治療内容を理解しましょう。そして疑問の思ったことは遠慮なく質問して下さい。積極的に治療に参加する気持ちが大切です。